ドラえもん のび太の海底鬼岩城 ネタバレ有り

  • 監督: 芝山努
  • 公開: 1983年
  • 出演: 大山のぶ代ほか

Netflixにいつのまにか劇場版ドラえもん作品がドバッと追加されていたので懐かしさのあまり一気に3つも見てしまいました…なにしろ大山のぶ代さんの声を聞くだけで泣けてくる世代ですから…

テレビっ子だった私は金曜夜7時からのドラえもん、クレヨンしんちゃんのコンボは週末の始まりを感じさせ、毎週ワクワクしながらみてました。今でも帰ってきたドラえもんの回みたら即ボロ泣きです。笑

年の離れた兄弟が録画してた劇場版もテープが擦り切れるまで何度も見た。今となっては無かったことにされた(絶許)「ざ・ドラえもんズ」はほんと大好きでどのキャラクターも愛らしかった……

こうして幾度も観てきたドラえもんシリーズですが今回何となく見始めた海底鬼岩城には度肝を抜かれました。

子供向けとは思えないテーマの数々

のび太の海底鬼岩城をはじめとするドラえもんシリーズ、もちろん言うまでもなく子供向けの作品ですよね。しかしこの映画を大人になった今みるとこの作品が含むテーマの数、濃厚さに驚かされます。

  • 海の知識
  • 北欧神話、伝承
  • オカルト、都市伝説
  • AI-人工知能
  • 核および戦争

ここまで多くの要素を一時間半の中にまとめて作品としてのクオリティーを保つ、それ自体尋常ではないとは思いませんか?しかもドラえもんにはお決まりのシーン、展開がいくつもありますよね。今作で言えば導入としてのび太が夏休みの旅行に皆んなを誘う、けど宿題が終わらない、とかそういう尺をとっていかないといけません。もうこの辺はお決まりですね。

加えてドラえもんというのは知育玩具や教育にもよく使われるように知識欲を刺激していく存在でもあるわけです。この映画は海底が舞台ですから海に関する知識が散りばめられています。そこに都市伝説を絡めて子供心をうまく刺激していくんですよね。その上北欧神話のポセイドンや伝承にあるクラーケンなどは一般教養として役に立ちますよね。

あ!これ見たことある!聞いたことある!っていうのは学習する上でかなりアドバンテージですからね。ドラえもん、というのは覚えてないにしろ確実に記憶の隅にワードは刻まれていくわけです。

倫理観に強く訴える演出

みんな大好きバギーちゃん

そしてなんといってもAIですよ。バギーちゃん!口が悪くて、怖がりで、とってもゲンキンな性格をした水中バギー(もはや主人公)です。彼(?)の印象は皆さん強く残ってるでしょう。コミカルでちょっぴり怖さも含む魅力的なキャラクターですよね。


このバギーちゃんに関するストーリーは本当に子供向けなのか?と思うほどに深いんですよね。この映画が公開される前年にはブレードランナーが公開されていますがテーマとしてはほとんど同じといってもいいでしょう。ブレードランナーのラストシーンに心打たれるタイプの人はバギーちゃんに涙したに違いありません。

機械らしく無機質な面を見せたかと思えばしずかちゃんに対する思いを募らせ、自分の機械である体に苦悩する。やばくないですか?子供に向けた作品で人間性とは何なのかを考えさせる、しかもエンターテインメントとしての体裁を保った上で。ありえなくないですか?まさに「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」ですよ、こんなの。

ラストの展開なんてみたらバギーちゃんはロイ・バッティ(ブレードランナーに登場する人造人間のリーダー)と同格のキャラクターです。おもしろくて、ちょっと嫌な奴で、最高にかっこよくて悲しいバギーちゃん。好きにならないわけがない…

発達しすぎたAIへの恐怖

今作のラスボスはポセイドンと名付けられた人工知能なわけですがバギーちゃんとは対照的な存在です。いうなればポセイドンの支配するアトランティスは、マトリックスやターミネーターといった機械に支配される世界を描いているわけです。フランケンシュタイン・コンプレックスなんて呼ばれますが創造への憧れとそれに滅ぼされる恐怖の感情のことですね。人造人間が関わる作品には大体この要素が含まれていますね。

アトランティスは絶対的優位性を保つため核兵器開発競争に乗り出し、結果実験の失敗により国民は滅び、自動迎撃システムであるポセイドンがロボット兵を従える「マシン・シティ」となってしまっています。

AIの人間性、人権を考えさせるバギーというキャラクターを描きつつ、過度な技術競争で人類の滅亡した世界を支配するポセイドンを同時に登場させる。これほんとすごい演出だと思いませんか?

最近ではPS4で発売されたデトロイト・ビカム・ヒューマンという人造人間の人権を巡る名作ゲームがあります。ゲームを通して長いプレイ時間をかけて描かれるストーリーに圧巻ですが、私はこの映画もわずか90分という時間でそれに匹敵するほどのメッセージ性をもつ作品になっていると思います。

本当に子供向けか?本当に昭和の作品なのか?

この「のび太の海底鬼岩城」に含まれる要素はこんなものではありません。ひみつ道具も活躍するして未来の技術にワクワクするし、ジャイアン&スネ夫は相変わらずやらかすし、確実にドラえもんというシリーズの要素を兼ね備えつつ上記の深いテーマをエンタメ作品の立ち位置を守った上で成立させた名作だとおもいます。

本作より西牧秀夫監督から芝山努監督にバトンタッチして、作風の違いから興行収入は伸び悩んだそうですが確実に芝山監督の手腕は既に遺憾無く発揮されている作品であることは間違いありません。原作:藤子不二雄の才能はいうまでもありませんが、90分という映画にここまでうまくまとめ上げた芝山監督の才能も恐ろしいものがあります。

まとめ

どうですか?この拙い文章でこの作品の魅力伝わってますかね??見たことある人は結構いると思いますが、ほんと普通に面白いし映画としてクオリティがありえないくらい高いので再見の価値ありまくりですよ。Netflixきてますから!とりあえずマイリストにぶちこんどきましょ!サクッと見れます!藤子不二雄せんせいはやっぱりすごすぎ!芝山監督もすごすぎ!ドラえもん大好き!そんな映画です。笑


コメント