イット・カムズ・アット・ナイト

A24公式ページより。

 

 

以前から気になっていた” IT COMES AT NIGHT”がいつのまにか公開されていたので観に行ってきました。どこかで観たトレーラーの緊迫感にやられて頭に残っていました。この映画はおそらくホラーとかスリラーの括りになるんですかね。

さておき僕は普段ホラーはあまり観ていません。というのも昔は泣き虫で誰と比べても相当の怖がりだったんですがゲームや映画で耐性がついたのか、今ではすっかり恐怖よりも面白さを強く感じてしまうようになってしまいました。例えば昨年のリメイク版 IT (怖さがウリでもないか?)では終始笑いを堪えるので必死だった有様です。

そんな僕がこの映画に興味を抱いたきっかけは制作がA24スタジオであると知ってからです。A24といえば今ノリに乗っているスタジオですよね。複製された男、エクス・マキナ、ムーンライト、ルームなどなど話題になった作品が多いですね。大衆向けの映画というよりはアートよりという印象が強いですかね。だからというわけでもないですが、ただ単に何か怖いクリーチャーがウワッと出てきてあたふたするような映画ではないのかな、という期待がありました。

一応トレーラーでわかる範囲での設定では

致死性の極めて高い病気が流行している世界である家族が森に孤立する家で外部との接触を絶っていた。そこにある侵入者が訪れる。

そんなところでしょうか。結構情報が少ないですよね。まぁ実際ほとんどそれだけなんですが笑。そして「It comes at night」ですから一部の観客レビューをみてもわかるように多少のミスリードがあるのかな、と思います。

結論から言えばこの映画は恐ろしい何かに襲われて逃げ惑ったり戦ったりする、そういう類のホラーではなく、その状況下に置かれた人々の心理状態を描く映画でした。ストーリーに大きな期待を寄せていると肩透かしをくらってしまいそうです。しかしこの映画は限られた要素を最大限に活かし、登場人物の心情をうまく描き、観客の恐怖や緊張感を煽っていると思います。すごく制作側の高い技術を感じる映画です。うまい映画というか。

コントラストが高めで描かれる映像は非常に簡潔で、劇中に多く存在する暗闇の中にランタンの光が浮かぶというシーンも結構印象に残ります。ちょっとこわい絵本みたいな。誰しもがちょっとやだな……と感じる空間で、不安感を煽られ映画に飲み込まれそうになります。あとポストアポカリプスものですがパッと見そういう印象を受けない絵作りなのもおもしろいですね。

全体ではミニマルという言葉が似合うほどに非常に限られた要素で物語は語られ、緩急のつけ方が良く90分という短い上映時間も相まり大変テンポ良く展開していきます。登場人物たちの不安、恐怖、安堵など手に取るように伝わってきます。そしてそういった感情が人間をどう動かしていくのか。その動きを克明に描きだした秀作、これが僕の抱いた印象です。

けれども内容の薄さは否定しようがありません。実際に起こる出来事はほとんど公式のあらすじに書いてあります。確かにこの映画は技術面、表現面では優れていると思いますが正直映画好きじゃなきゃ見ない、見てもよくわからない人が多数じゃないでしょうか。わからないというより「これで終わり?」感がすごそうです笑。スティーブン・スピルバーグの名作「激突!」に近いものがあるかも。知らない人のために説明するとちょっとトラック煽ったら一生煽り返されてめっちゃ怖いっていう話です笑。そういう物語というよりはある一つの事件、事柄を描いているという映画ですね。そういう意味でも「激突!」と比べるとこの一連の事柄のインパクトが薄く、物語の運び方もイマイチでした。非常に少ない要素で構成されているためどうしても先が読めてしまうんですよね。

 

結局おすすめできるのか?

内容は、はっきり言って薄いです。けど映画のクオリティとしては高めだと思います。そこを楽しめる人かどうかだと思います。一つのシチュエーションに置かれた人々が何を感じ、どう動き、どこへ向かうのか。そういう人間の機微におもしろさを見出せる人にはオススメできるとおもいます。怖いホラー映画をみたい!濃厚なストーリーを楽しみたい!ドキドキハラハラしたい!そういう人には向かないと思います。

 

以上でネタバレ無しの感想は終わります。ネタバレ有りはこちらよりどうぞ。

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